新たな大都市制度「特別自治市」の創設に向けて

指定都市市長会では、指定都市が大都市特有の多様な行政課題や住民ニーズを踏まえ、効果的・効率的に行政サービスを行うことができるよう、地方分権改革の推進や新たな大都市制度の創設に関して調査し、国等の関係機関へ提案を行っています。地方分権改革が進むことにより、まちづくりや福祉など様々な分野において、地域で生活する市民の意見やニーズに沿った総合的な行政ができるようになります

指定都市とは、地方自治法で「政令で指定する人口50万以上の市」と規定されている都市のことです。「政令指定都市」、「政令市」、「指定市」などといわれることもありますが、ここでは地方自治法に従うと、「指定都市」という名称になります。

日本には、792(平成30年10月1日現在)の市がありますが、指定都市は道府県と同等の行財政能力などを有していることが求められていることから、現在、概ね人口70万人以上の20の都市が政令による指定を受けており、その居住人口は全人口の約2割を占めています。平成30年4月現在の指定都市は、北から、札幌市、仙台市、さいたま市、千葉市、川崎市、横浜市、相模原市、新潟市、静岡市、浜松市、名古屋市、京都市、大阪市、堺市、神戸市、岡山市、広島市、北九州市、福岡市、熊本市の20市です。

指定都市では、近年における社会経済情勢の変化に伴う社会保障制度の充実向上、生活環境の整備、都市機能の充実等の財政需要が増加の一途をたどっているほか、道府県から移譲されている大都市特例事務に対する財政需要がありますが、これらの財政需要に対する税制・財政上の十分な措置がなされていないことに加え、地方法人税導入の影響により、都市税源の更なる確保は厳しい状況となっています。また、徹底した行財政改革に取り組んでいますが、過去の経済対策に呼応した社会資本整備などに係る借入金の償還が大きな負担となっています。さらに、近年全国的に多発する大規模災害からの復旧・復興の取組や、防災・減災対策の一層の推進に加え、新型コロナウイルス感染症の影響から市民生活や地域経済を守るためにも多額の費用が見込まれるなど、財政運営は極めて厳しい状況に置かれています。

真の分権型社会の実現に向け、国と地方の役割分担を抜本的に見直した上で、新たな役割分担に応じた税の配分となるよう、消費税・所得税・法人税など複数の基幹税からの税源移譲により税源配分の是正を行うなど、地方税財源を拡充強化するとともに、増大する財政需要に対応し、自主的かつ安定的な財政運営を行うため、国の歳出削減を目的とした安易な地方交付税の削減等を行うことなく、必要な地方財源の総額を確保し、都市税源の拡充強化を図ること等により、大都市の実態に即応した税財政制度を確立することが重要です。

現行の指定都市制度は50年以上前に暫定的に創設された制度です。全国の約2割もの人口が集中し、我が国を代表する大都市が、世界的な都市間競争や今後の人口減少社会に対応するため、そのポテンシャルを十分に発揮し、日本全体を牽引するエンジンとなるには不十分な制度です。

自立した基礎自治体への権限移譲の先行事例となるよう、大都市が地域特性や実情にあわせ、広域自治体や周辺自治体と多様な連携を行いながら、創意工夫と責任に基づく自立的な都市経営を行うために、あるべき大都市制度の一つの姿として、二層制の自治構造を廃止し、大都市が、現行制度で国や道府県の事務とされているものも含め、地方が行うべき事務の全てを一元的に担う新たな大都市制度「特別自治市」の創設が必要です。

(資料:指定都市市長会HP)

 

 

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