トラック運送業界では、物流サプライチェーンの一翼を担い、市民生活や企業活動にとって不可欠なインフラとして、日夜懸命に生活物資等の輸送に務められています。県や市町村の要請を受け、近年多発する大規模自然災害による被災住民へに緊急物資輸送にも対応する等、益々、トラック運送事業の重要性が認識され、持続的な輸送力の確保が求められています。

しかしながら、業界は中小零細企業事業者が多数占める構造上、昨今の原油価格高騰と燃料価格の高止まりといった厳しい経済環境の影響を大きく受け、各事業者が個々に努力を重ねてもコストを吸収することは困難な状況であるとの事です。また、人口減少や宅配需要の増加に加え、労働時間規制の強化などに伴いドライバー不足も深刻化かしています。こうした状況から事業継続が危ぶまれる事態となっています。こういたことから、公明党横浜市会議員団と自由民主党横浜市会議員団にて、トラック運送業界が引き続き市民生活と企業活動を支えるライフラインとしての役割を果たしていただく為、市長宛て「トラック運送業界への支援を求める要望書」を過日提出をしています。

市長からは概ね、以下のコメントがありました。「物流は、市民生活や企業の経済活動を支える根幹であり、必要不可欠な社会インフラである。また、トラック運送業界の皆様には、災害時における物資輸送の協定に基づく救援物資輸送訓練の実施や能登半島地震における資機材等の搬送など、日頃からご協力をいただいている。しかしながら、昨今の燃料価格の高止まりや働き方改革に伴う自動車運送事業における時間外労働規制の見直し（いわゆる「物流の2024年問題」）によるドライバー不足の深刻化、カーボンニュートラルへの対応など、物流業界を取り巻く課題は様々なものとなっている。そうした厳しい経営環境が続いている事業者の皆様からのお声を受け、これまで行ってきた中小・小規模事業者向けの経営相談や資金繰り支援、省エネルギー機器の導入支援などの取組に加え、国の「重点支援地方交付金」を有効に活用し、緊急的な支援強化策を検討していく。燃料価格の高騰や人手不足などの課題に対応できるよう補助制度を創設したい。お困りの皆様に少しでもお役立ていただけるよう、スピード感をもって対応していく。」との事でありました。

横浜市会第1回定例会では、「貨物運送事業者　燃料価格高騰等対策支援事業」として予算付けされ議案として掲げられています。この件ついて本会議議案関連質疑にて、公明党横浜市会議員団を代表して、仁田昌寿議員が質疑に立ちました。以下質疑の要旨となります。

●市第144号議案令和６年度横浜市一般会計補正予算（第７号）に関連して伺います。まず、貨物運送事業者燃料価格高騰等対策支援事業について伺います。世界的な原油需要の高まりや円安の影響により、燃料価格が高騰し、トラック運送業界に大きな影響を与えています。言うまでもなく、燃料価格はトラック運送のコストに直結しており、燃料価格が１円あがると、トラック業界全体で150億円の負担増になるとの試算もあります。

我が党では、こうした状況を踏まえ、先月、自由民主党横浜市会議員団と連名で、トラック運送業界への支援について市長に要望し、２月補正予算での対応について、迅速に決断していただいたところです。今回、市が提案するスキームは、１事業所あたり一律で10万円の支援金を交付する、というものです。一方で、昨今、低燃費タイヤ、いわゆる「エコタイヤ」が注目されています。通常のタイヤをエコタイヤに履き替えることにより、３％程度、燃費が向上すると言われています。燃費が３％向上すれば、燃料価格の高騰分を大きく吸収できます。事業者の皆様には、今回、市が補助する10万円を、このような次につながる取組により、ぜひ有効に活用していただきたいと思います。

【質問】支援金の使途の想定について、市長に伺います。

《市長答弁》燃料費の高騰分への充当、この直接的な目的のほか、エコタイヤの初期投資やエコドライブの研修費用など、そういったことも実質的には燃料価格の高騰分の吸収につながるものであります。事業者の皆様の状況に応じましてそういったことも含めて活用いただくことを想定しています。具体的な活用策については、募集要項の中で例示するなど、事業者の皆様に有意義にご活用いただき、燃料価格の高騰分の吸収につながりますよう、しっかりと定めていただきたいと思いますし、また事業者の皆様に伝わる広報も工夫してまいりたいと思います。

●トラック運送は、企業が経済活動を行う上で、また、市民が生活する上で、なくてはならないものです。今後もしっかりとした支援を要望しました。