昨年末、公明党横浜市会議員団にて、公益財団法人 地球環境戦略研究機関(IGES)にお伺いしました。
IGESは、「地球環境戦略研究機関設立憲章」の趣旨を踏まえ、新たな地球文明のパラダイムの構築を目指して、持続可能な開発のための革新的な政策手法の開発及び環境対策の戦略づくりのための政策的・実践的研究(戦略研究)を行い、その成果を様々な主体の政策決定に具現化し、地球規模、特にアジア太平洋地域の持続可能な開発の実現を図ることを目的とし、1998年3月に日本政府のイニシアティブと神奈川県の支援により設立された公益財団です。
国際機関、各国政府、地方自治体、研究機関、企業、NGO、市民の皆様と連携し、各種の戦略研究を実施するとともに、関係者への情報提供、国際会議の開催、研修の実施等の様々な事業が行われています。政府は、地球温暖化対策のため2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにする目標(カーボンニュートラル)を表明しました。二酸化炭素やメタン、フロンガスは、主に人間活動によって排出されます。温室効果ガスの排出量とCO²を吸収する森林整備等による吸収量が釣り合った状態が「実施ゼロ」です。2050年までのカーボンニュートラル実現を目指す国は昨年の10月末時点で123の国があります。
横浜市においては、「Zero Carbon Yokohama」として2050年までの温室効果ガス実施排出ゼロ(脱炭素化)を宣言しています。昨年5月には、「Zero Carbon Yokohama」達成時のイメージとプロセスを具現化。2030年に向けた当面の施策を示すとともに、脱炭素化に向けて更なる検討が必要な課題を整理し、「横浜市再生可能エネルギー活用戦略」が策定されました。
日本のみならず、世界で温室効果ガス「実質ゼロ」を達成できないと温暖化は進み、気象災害や食糧難、疫病の増加、生物多様性の消失等、様々な脅威が発生します。気象庁によると、日本では平均気温が100年間に1.24℃のペースで上昇。数十年に一度の異常な規模の災害を知らせる「特別警報」は、既に17回発表され、、急激な気温上昇を抑えられないと、最高気温35度以上の猛暑日が急増。また、滝のように降ると表現される、1時間あたり50㍉以上の雨が、今世紀末までに2倍以上になると予測。
温室効果ガスは、排出量や吸収量を全て観測する事はできません。日本では、環境省と国立環境研究所が電気やガソリンの使用料、ゴミ処理量等の様々な統計を用いて推計しています。2019年度の排出量は約12億1300万トンで、このうち91.2%がCO²です。一方で吸収量は、まだ算出されていませんが、18年度は5590万㌧。世界において温室効果ガスの排出量が増加傾向で、19年時点で年間約591億㌧になっています。
温室効果ガスの濃度は、産業革命が起きた18世紀半ばから増え続け、特に最近10年間は急激な増加が見られます。森林は焼き畑農業や火災などで減少。国連食糧農業機関FAOによると、今年の世界の森林面積は約40憶㌶。この30年間で4.2%減です。(読売新聞)
昨年末に、温室効果ガス排出量を2050年までに実質ゼロにする目標の実現に向けた実行計画「グリーン成長戦略」も発表され、成長が期待される14の産業を重点分野として野心的な目標を掲げ、企業の投資など前向きな動きを引き出すとしています。温暖化対策を経済成長の制約やコストとする時代から、国際的に成長の機会と捉える時代になりました。積極的な対策を行う事が、産業構造や社会経済の変革をもたらし、次なる大きな成長に繋がる「経済と環境の好循環」を廻すことが目指されます。