横浜市が目指す特別自治市制度

特別自治市制度は、県を分割して県と同じ機能を持つ新しい県を作るのではなく、現在県が横浜 市域において実施している事務と基礎自治体として横浜市が担っている事務を統合し、特別自治市 が横浜市域内の行政サービスを一元的に担うことで、より効率的な行政や積極的な政策展開ができ るようにするものとするものです。

事務の移譲、施設、職員等の移管に関しては、横浜市が特別自治市に移行する際に県と協議をし て定め、また、移行後においても必要に応じ、継続的に協議を行います。

地方制度調査会専門小委員会「大都市制度についての専門小委員会中間報告」においては、新たな大都市制度で ある特別市(仮称)が警察事務を担うことについて、組織犯罪等の広域犯罪への対応に懸念がある としていることから、警察事務の扱いについては、引き続き検討を行うものとします。 なお、特別自治市制度は、県からの権限・財源の移譲ばかりではなく、将来的には、真に国が担 わなければならない事務(国防、司法、通商政策など)を除き、ハローワークや直轄国道など国が 担っている事務も含め全ての事務を特別自治市が担うことを目指すものである。しかし、当面は、 県からの権限・財源の移譲による特別自治市への早期移行を最優先の課題といます。

特別自治市としての横浜市は、原則として、県が横浜市域において実施している事務及び横浜市 が担っている事務の全部を処理するため、市域内地方税(現行の県税のうち横浜市域部分と市税の 全て)を賦課徴収。

昭和 31 年に「特別市制度」が廃止された際、廃止を求めてきた5府県側の大きな理由の一つは、 「大都市が府県から独立することにより残存地域の利益が損なわれる」という点にあったものと考 えられます。しかし、この半世紀間で横浜市と県、県内市町村の関係は変化し。 たとえば、県内における県税額の市町村別構成比と人口の構成比についてみると、特別市制度が 反対されていた頃の昭和 25 年度においては、横浜市に人口構成比以上の税収が集中していたこと を確認できますが、平成 22 年度では税収の市町村別構成比と人口構成比はほぼ一致。

また、全国市町村の財政力指数を都道府県別にみると、平成 23 年度、神奈川県は 0.97 で全国2 位(1位は愛知県)となっており、全国市町村の平均である 0.51 と比べるとかなり高くなっています。さらに、横浜市を除いた県内 32 市町村中 16 市町村が横浜市よりも財政力指数が高い。 県税額の市町村別構成比と人口構成比の割合や県内市町村の財政力指数といったデータからは、 少なくとも横浜市と神奈川県内の市町村の間では、「大都市だけが財政的に突出し、大都市が府県 から独立することにより残存地域の利益が損なわれる」状態であるとは言えなません。 一方で、地方制度調査会専門小委員会中間報告においては、特別市(仮称)は全ての道府県税、 市町村税を賦課徴収することとなるため、周辺自治体に対する都道府県の行政サービスの提供に影 10 響するという懸念があるとしています。特別自治市においては、地方税の全てを賦課徴収することに よって、都道府県内市町村に対する都道府県の行政サービスの提供に影響を及ぼさないことが必要 であり、万一、支障が生じる場合は特別自治市と都道府県の間で個別に調整を行うこととします。(横浜市特別自治市大綱)

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