子どもを産み育てたいと希望する人の妊娠・出産につながる支援策の充実

子どもを産み育てたいと希望する人の妊娠・出産につながる支援策の充実に注目が集まっています。政府は体外受精などの不妊治療への助成を2021年1月に拡充。現在の1回目30万円、2回目以降15万円とする助成額を、2回目以降も30万円に引き上げられます。最大6回までとしていた助成の回数を、子ども1人につき最大6回までに緩和。所得制限は撤廃。22年4月の保険適用も目指されます。

現在、不妊治療を受ける夫婦は5.5組に1組といわれています。体外受精や顕微授精といった高額な治療で生まれる子どもも増加し、17年には約5万7000人が誕生。計算上、学校1クラスに2~3人いる割合です。

不妊治療の保険適用について公明党は、1998年の「基本政策大綱」で掲げて以来、20年以上にわたって取り組んできました。2000年には不妊治療の保険適用を求める署名活動を行い、約55万人の声を政府に届けました。その後、04年に当時の坂口力厚労相の下で国の治療費助成制度がスタート。以来、金額や対象を段階的に拡充し、地方自治体においても独自の上乗せ給付などが実現しています。

不育症への支援についても、公明党は09年11月に国会質問で初めて取り上げました。12年1月には、ヘパリン注射による治療の保険適用を実現。地方議員も自治体独自の助成制度や相談体制整備を進めてきました。

妊娠したのに流産や死産を繰り返す不育症を巡っては、治療の実態や自治体の支援状況を把握した上で、国の助成制度の創設をめざすよう要望。治療の保険適用拡大や流産・死産に対する心理面のケア(グリーフケア)充実も提唱した。

相談体制の充実では、不妊・不育症の経験を持つ人が相談に当たるピアカウンセリングへの支援を要請。このほか、治療と仕事の両立支援強化や、経済的な理由による晩婚化・非婚化への対応を促し、支援拡大に際して「特定の価値観の押し付けや当事者にプレッシャー(精神的圧迫)を与えることにならないよう最大限配慮を」と強調しています。

「不妊症」とは次のとおり定義されており、WHO(世界保健機関)によれば約半数は男性に原因があるとされています。
(1)日本産科婦人科学会
生殖年齢の男女が妊娠を希望し、ある一定期間、避妊することなく通常の性交を継続的に行っているにもかかわらず、妊娠の成立をみない場合を不妊といいます。その一定期間については 1 年というのが一般的です。なお、妊娠のために医学的介入が必要な場合は期間を問いません。
(2)日本生殖医学会「不妊症」とは、なんらかの治療をしないと、それ以降自然に妊娠する可能性がほとんどない
状態をいいます。特に病気のない健康な男女が妊娠を希望し、避妊をせず夫婦生活(セックス)を営むと一定期間内に大多数の方が妊娠します。
しかし一定期間を過ぎても妊娠しない場合、その後いくらタイミングを取っても自然に妊娠する可能性は低くなるため、不妊症と診断することが出来ます。
結婚年齢が高くなった日本でも1年以上妊娠しない場合に不妊症と診断し、年齢が高い場合にはより早期に検査と治療を開始したほうがよいという考えが一般化してきています。

■不育症■
「不育症」とは、妊娠したものの流産、死産を 2 回以上繰り返すことをいいます。以前は医学的用語として登録されていませんでした。不妊症と同じで、1 つの病気というものではありません。流産とは、妊娠の早い時期(妊娠 22 週)までにおなかの赤ちゃんが亡くなってしまうことをいいます。また、妊娠 22 週以降に亡くなった場合を死産といいます。流産の原因のほとんどは、胎児の染色体異常によって起こる偶発的なものです。日本で不育症に悩む人の数は正確にはわかっていませんが、毎年妊娠する人のうち、数万人が不育症の可能性があると考えられます。

不妊についての心配と治療経験等
不妊を心配したことがある (または現在心配している)夫婦の割合は、35.0%で、子どものいない夫婦 に限ると 55.2%となります。また実際に 不妊の検査や治療を受けたことがある (または現在受けている)夫婦は全体で18.2%、子どものいない夫婦 では 28.2%です。特定不妊治療による出生児数及び総出生児数に占める割合は増加傾向にあり、近年では16 人に1人が特定不妊治療により出生 しています。このように、不妊治療の検査や治療を受けること、特定不妊治療により出産することは、妊娠・出産を考える夫婦にとって身近なことになりつつあります。

特定不妊治療にかかる費用と出生に至る確率
特定不妊治療にかかる 1 回あたりの平均費用は・体外受精 38 万円(最少-最大:13,030 円-1,102,697 円)・顕微授精 43 万円(最少-最大:58,925 円-1,145,470 円) とのことです。1回の治療から出生に至る確率は 12.63%であるため、妊娠・出産に至るまでに複数回の特定不妊治療を受け、多額の費用負担が発生する場合があります。(市会ジャーナル209)

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