厚生労働省は、事業主に義務付けている障がい者の法定雇用率を、2020年度末までに現在の2.0%から2.3%へ引き上げると決めました。
(公明新聞6・1主張)
来年4月から雇用義務付けの対象に統合失調症などの精神障がい者が加わり、対象者数が増えるための措置です。
障がいの有無にかかわらず就労を希望する人が、その能力を職場で発揮できるようにすることは、多様な人材を積極的に活用しようという世界的潮流「ダイバーシティ」の考え方にも通じ、国や自治体、企業の積極的な取り組みが求められます。
障がい者雇用への理解の広がりや障害者雇用促進法の改正による就労支援策の強化を背景に、民間企業で働く障がい者は13年連続で過去最高を更新。
とはいえ、法定雇用率を達成している企業は48.8%と半数以下にとどまる。従業員数の少ない事業所ほど職場の環境整備にかかる負担が大きいなど、働く現場では障がい者の受け入れに苦慮しているケースは多い。この点にどう取り組むべきか。まず、一定期間の試行期間から就労への移行をめざすトライアル雇用助成金など企業支援策の活用や、知識の習得や訓練による就労移行・継続支援、ICT(情報通信技術)を使った在宅就労をさらに進める必要があります。自治体の役割も重要です。
例えば東京都は、障がい者の安定した雇用と処遇改善に取り組む企業への奨励金を創設したほか、都職員の採用については17年度から受験資格を身体障がい者に加え、知的・精神障がい者にも広げた。こうした先進事例は全国のモデルとなります。障がい者が身近な地域で就労できるよう就労コーディネーターを配置した「障害者就労支援センター」の全区市町村への設置を政策に掲げている。障がい者の雇用率が低い中小企業とのマッチングを進める上で意義は大きい。
障がい者の能力を引き出すため作業工程を工夫するなど知恵を絞っている企業も少なくない。官民挙げた取り組みで、全ての人が活躍できる共生社会の実現につなげることが重要です。
URL :
TRACKBACK URL :