「科学技術イノベーションの促進」。公明党が政府に提言した「成長戦略 2016」の一つです。
日本の研究開発力を強化するため、特定国立研究開発法人を創設し、理化学研究所など3機関を指定する特別措置法が、成立しています。
科学技術のイノベーション(技術革新)が日進月歩で進む中、「科学技術立国・日本」としての成長が重要です。
新設法人は今後、これまで国家公務員に準じるとされた研究者の待遇を、各法人が能力や専門分野、世界水準を考慮して独自に決められるようになる。待遇アップにより人材が集まりやすくなれば、研究が進み日本の競争力も一層高まります。
特に期待されるのは基礎研究の分野だ。基礎研究には、成果が出るまでに長い時間と多くの費用がかかります。このため企業は、基礎研究の成果を応用して実用化を探る応用研究や、実際に新製品や新生産方法を開発する開発研究に重点を置きがち。
しかし、基礎研究によって得られた理論や技術は、多くの特許につながるなど多大な恩恵をもたらします。日本が世界に誇る青色発光ダイオード(LED)は、基礎研究の成果を示す代表例。未来の科学技術を開く基礎研究は、国が支えていくことが重要です。
アジアで初めて新元素を発見した森田浩介・理研グループディレクターも、「国が基礎研究に力を入れていることが見えることは、若い研究者たちにとっても大事だ」と指摘。
しかし、基礎研究に充てられる予算は十分でないのが実情だ。民主党(現民進党)政権時代にカットされた科学技術振興費は、自公政権に戻って増えてはいるものの、基礎研究費は欧米が全研究予算の15~28%以上なのに対し、日本は10%台前半にとどまっています。
基礎研究の充実と人材の確保は、日本の国際競争力を強化していく上で不可欠です。(参照:公明新聞 2016・5・17主張)