介護外国人材の受け入れについて

横浜市において団塊の世代がすべて75歳以上となる2025年には、市の総人口は減少に転じて 371 万人となる一方、65 歳以上の高齢者は約 97 万人、高齢化率は 26%になることが見込まれています。介護の外国人材の受け入れについて、横浜市においては、先駆けて様々な取り組みが行われています。政策理論誌の調査季報の特集の中の一つでも取り上げれられています。

横浜市の2025年における環境下では、8,500人の介護人材が不足すると見込まれています。高まる介護ニーズに対して、少子高齢化が進み、生産年齢人口が減少する中、全産業で労働力に対する需要が高まり、特に介護分野の有効求人倍率は4倍以上と、全産業の平均を大きく上回る大変厳しい状況になっています。そこで、国内だけで人材不足を補っていくことに困難が予測されることから、横浜市は全国に先駆けて、海外からの人材受入れを積極的に進めることとしています。

現在、外国人が日本で介護の仕事をするには、入管法(出入国管理及び難民認定法)で定められた在留資格を得る必要があります。その資格ごとに、現在4つ(横浜市ではこれにインターンシップを加えた5つ)の制度があります。介護人材の受入れについて事業を実行するには、この受入れの仕組みを踏まえることが前提条件となります。

①EPA(経済連携協定)に基づく介護福祉士候補生の雇用(在留資格は「特定活動」)②在留資格「介護」をもつ外国人の雇用③「技能実習」制度を活用した技能実習生の雇用④在留資格「特定技能」をもつ外国人の雇用⑤インターンの雇用

横浜市として、EPA支援では、関係団体と連携して、施設での円滑な就労・研修から、国家資格取得へとつながる体制整備を支援。在留資格「介護」をもつ外国人の雇用では、入管法改正により、介護福祉士の国家資格を取得して介護業務に従事すれば、在留期間を更新する際の回数に制限がなく、問題がなければ介護業務に従事している限り日本に滞在することが可能です。平成29年9月から、日本で介護職員として働き続けたいと考える外国人は、「留学」の在留資格で入国し、日本語学校や介護福祉士養成施設に通い、国家資格を取得して「介護」の在留資格に変更するという流れが代表的なものとなりました。この流れをより促進するための国のスキームでは、受入れ環境の整備として、養成施設に就学する際にかかる費用等の貸付け制度が設けられています。留学生は就学にかかる費用を一旦借り入れ、資格取得を目指します。資格取得後、介護業務に従事することで日本での長期滞在が可能となります。5年間介護の仕事に従事すれば借り受けた資金の返済も免除されます。また、浜市では、この国の制度に加えて、介護人材支援事業で、いくつか独自に環境整備のための支援策を行っています。

介護人材支援事業では、様々な海外からの介護人材の確保に向けた事業に取り組んでいますが、それらは、在留資格「介護」のような外国人介護職員を雇用できる制度が創設されたことに伴って開始したものです。

 介護福祉士養成施設の費用等については、貸付けだけでは不足する額に対して年間最大20万円まで助成する補助制度(令和元年度から)、養成施設に通う前に日本語学校に通う留学生には、その学費等を年間最大35万円まで助成する補助制度、さらに住居についても、住居借上げ支援事業として一人あたり月3万円を上限に助成を行っています。助成のほかにも、国家試験対策や介護現場で役立つ日本語の研修、日常生活相談といった教室や窓口の設置・運営を委託で実施して、外国人の勉強・仕事・生活全般を支援しています。

 横浜市のスキームでは、助成事業は全て留学生がアルバイト等で就労する施設を対象に行っています。在留資格が「留学」の場合であっても、週28時間までの就労は可能となります。横浜市では、留学期間における介護施設でのアルバイト等による就労も貴重な人材資源として捉え、介護現場の就労につながるスキームとしています。受け入れる施設としては、学費等を一旦立て替えるという負担がかかりますが、在留資格の変更を経て長期滞在となったときに、継続して施設の職員として活躍してもらうことが期待できます。

また、「技能実習」制度の対象職種へ介護の追加されています。「技能実習」制度とは、先進国の技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展に協力することを目的とするものですが、平成29年11月、対象職種に介護が追加されました。現在、市内の施設にはEPA、留学生、技能実習生と、異なる在留資格で従事する外国人の方々がいます。支援策は全ての在留資格に対応する必要があります。そこで、横浜市では在留資格や国籍を問わずに使えるように事業が考えられています。(調査季報184 外国人材と多文化共生の推進 新たな外国人材の受け入れについて)

 

 

 

URL :
TRACKBACK URL :

コメント

  • 最近の投稿
  • 人気の記事
  • Category
  • アーカイブ