「ゆっくりお風呂に入ってもらいたい」と…銭湯でデイ・サービスセンター

昭和27年に品川区旗の台に創業した銭湯「新生湯」さん。

後を継ぎ、2代目の社長は、東海大相模野球部の同じポジションの後輩、寮生活を共にした新井重雄氏です。

急速な高齢化で、なかなかお風呂に入ることができない方が増える中で「ゆっくりお風呂に入ってもらいたい」と…銭湯でデイ・サービスセンター「湯〜亀」(ゆ〜き)を開設。隣の敷地には、「ガーディアンプレイス旗の台」も建設。サービス付高齢者住宅、小規模多機能、認知症対応型通所施設、ヘルパーステーション、ケアプラセンター、訪問介護ステーションと…ハイブリドな複合型施設になっていました。

「ゆ〜き」さんの想いが、HPに綴られています。

戦後、まだお風呂がない家庭が多かった時代。地域の公衆衛生に寄与しながら、長い間この地で地域の方々とともに生活して参りました。

 それから40年以上が経ちました。高齢化社会が進行し、介護は社会問題となりました。昔からのお客様も働いている者も、みんな等しく齢を重ねました。高齢になったことで今まで当たり前にできていたことができなくなり、1人ではお風呂に入れない、そのため何ヶ月もお風呂に入っていない、という話を耳にするようになりました。ずっと通っていた「新生湯」に行きたいけど、行くことができない。こうした話を聞くことは珍しいことではありませんでした。

 私どもは地域の中で地域の方々に助けられて、長い間銭湯を営業して参りました。そのお客様が人生の最晩年に何ヶ月もお風呂に入ることができずにいる。それに対して銭湯として何かしなければならないのではないか、恩返しをするべきではないか、と考えました。

 平成12年には介護保険制度がスタートしました。私たちも微力ながらできることから始めることにしました。まずはヘルパーの資格を取りに行きました。そしてご自分でお風呂に入ることのできない方の自宅に伺い、「新生湯」までお連れして、介助して入浴していただくことを始めました。

 これを2年間続けました。そしてもっと多くの方に広いお風呂にゆっくり入っていただきたいと思い、車で何人かの方をお連れして、入浴後に送り届けることを考えました。そのために通所介護事業所デイサービスセンター・湯~亀を平成15年に開設しました。「新生湯」の脱衣場を使ったデイサービスです。

 当時の1日の定員は12人でした。週で延べ60人の方にお風呂に入っていただくことができるようになりました。毎朝車でご利用者様をお迎えに行くところから「デイサービスセンター・湯~亀」が始まり、入浴の他に体操や食事等ののち、ご自宅まで送り届けます。その後通所介護事業所「デイサービスセンター・湯~亀」は、銭湯「新生湯」に早変わりし、お客様をお迎えするのです。

 こうして介護事業に参入しました。そして様々なことを知り、学びました。高齢期を迎えた人々が、住み慣れた地域の中で過ごすために必要な援助を受ける地域基盤がまだまだ不足していること。良いヘルパー、良いケアマネジャー、良い看護師、良い医師らや、バリアフリーや周囲の見守り等の環境が大切なことなどです。
 平成16年に訪問介護事業所ヘルパーステーション・湯~亀を開設しました。介護が必要になったときに、もっとも身近に接することになるがヘルパーです。それぞれのご利用者様ごとの価値観を尊重し、そばにいて生活を支えるために大切です。

 平成17年に居宅介護支援事業所「ケアプランセンター・湯~亀を開設しました。ケアマネジャーは在宅介護の道先案内人です。どんなに良いサービスも、適切な計画があって初めて活きるもの。ご利用者様、ご家族様に的確な助言、提案をすることも重要なことです。
同じく平成17年に訪問看護事業所「訪問看護ステーション・湯~亀を開設しました。医療職でなければできない行為も数多くあります。医療依存度の高い方や、ご自宅で最期を看取る場合等には不可欠な存在です。

 こうして高齢期を迎えた地域の方々が必要なときに必要な援助を受けることのできる基盤の整備を目指し、「湯~亀」の4つの介護事業所を設立させました。この地域を高齢になっても住みやすい場所にするべく日々活動を行ったわけですが、同時にスタッフ自身が成長することも重視して参りました。私たち自身が人として成長することが、適切な介護サービスを提供するために何よりも大切だと考えたからです。私たちは私たちの事業に関わるすべての人が必要とされ、社会的地位が向上することを望んでいます。そして社会貢献を果たし、協働して社会的使命を達成することを目指しています。

 次のステップとして、平成26年に新生湯の隣の敷地に「ガーディアンプレイス旗の台」を建設し、新たに「サービス付高齢者住宅コムニカ」、「小規模多機能型居宅介護ぷらりす」、「認知症対応型通所介護くおりあ」を開設しました。

 「コムニカ」は在宅介護の環境面の課題に対し、住み替えをすることで在宅生活を継続できるようにすることを目指して作りました。プライバシーの守られた「住宅」でありながら、バリアフリー環境と、併設の介護事業所の職員による緩やかな見守りと、専門のスタッフである「コンシェルジュ」によって安心して暮らせる場所となっています。

 準備に1年以上の期間をかけ、認知症の方にどのように向き合うべきか徹底的に議論をしてスタートしたのが「くおりあ」です。それまで培ってきた認知症ケアの知見を集約し、また新たな試みを加えて取り組んでいます。現在は音楽療法を中心としたプログラムを用いています。

 私たちは通所介護から始まり、訪問介護、居宅介護支援、訪問看護と、事業所の開設をしてきました。それは地域の方が必要なときに必要なサービスを受けることができる基盤整備のためでした。「通い」「訪問」「泊まり」「プラン」を一体的に提供する「ぷらりす」は、これまでの私たちの取り組みの集大成だと考えています。

 「ガーディアンプレイス」は、「護る人達の集まる場所」という意味です。コムニカのご入居者様、介護サービスのご利用者様、そして「この地域を護る」その拠点となるという、私たちの意志を示しています。  

全体が明るい施設で、働いている皆さんもとても、生き生きとされているのも印象的でした。こうしたハイブリドな複合型施設が地域に多くあるととてもありがたいことです。

 

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